歯の根の治療を成功させるために必要な4つのこと
CT(Computed Tomography)とは3次元的レントゲン撮影のことを言います。X線を利用して断面像を描写します。
このCTを歯の根の治療(根管治療)で活用することで、歯の状態の診断や治療の精度が向上します。
今回はなぜ根管治療でCTが必要なのか、CTを治療でどう活用しているのかをお話します。
歯根の形態はとても複雑!

歯根の形態は部位や人によって千差万別です。右の写真は歯根の形態を墨汁のようなもので見えやすくしたものです。
左側の歯では、3つの大きな根管の他に中央に細い隠れた根管が見られます。右側の歯では根管が途中で癒合して根のなかで1つの空間を作っているのがわかります。
この2つは人は違いますが同一部位の歯です。ですのでCTでこの千差万別の根管形態をしっかり把握した上で根の治療を行うことは、治療を成功させる上でとても重要になります。
CTで歯の根に溜まった膿の範囲や原因を知る!

歯の根元に膿が溜まると、噛んだときに痛みが出たり、
歯茎が腫れたりします。
・痛みの原因はどの歯なのか?
・複数ある根管のうちのどの根管が原因なのか?
・膿が原因か?それとも根が割れてしまっているのか?
CT撮影によってこのような様々な情報を得ることができます。治療の成功は原因の特定からです!
症例

上のレントゲン写真では、左上の5番目の歯根の先端に黒い影が認められます。
この黒い影は膿が溜まったときに見えてきます。右上の写真では、5番目の歯に膿が溜まっているためこの歯の根の治療が必要ということになります。
これを実際にCTをとって精査してみたものが右下の写真です。このCTから後ろの6番目の歯の根っこも黒い陰に覆われていて、膿が溜まっていることがわかります。
CTからの判断

どちらの歯が原因となったのかはCTから判断するのは難しいですが、5番目の歯だけでなく、6番目の歯も同様に治療をしないといけません。右上のレントゲン写真のみでCT同様の精度ある情報を得るのは難しいですね。
根の治療でのCT撮影が保険適用

お口の中から直接みることができない部分をCTで可視化することによって、治療の精度が上がります。今年度(2010)から、奥歯の根の治療でのCT撮影が保険適用となりました。
ご不明点やご相談等ありましたら、お気軽に当院までご連絡ください!
次回は最終回マイクロスコープ(顕微鏡)についてです。